コンプが苦手な人こそ知っておきたい。動作方式の違いによるコンプの特性と往年の銘機。

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コンプってただでさえ難しいのに、更に製品ごとに特色があって何が何やらですよね…。

しかもプラグインの説明とか見ると「往年の銘機である○○をシミュレートした~」とか書いてるんですが、平成生まれの私には全く分からない!

そんなわけで、今回は4種類の動作方式の違いを見てザックリと特性を把握しつつ、よく名前が挙がるビンテージコンプの銘機も一緒に覚えていくことにしました。

*記事の画像は無関係のステレオレシーバーですのであしからず。

FET(Field Effect Transistor)

FETはField Effect Transistorの略で、日本語では電界効果トランジスタと訳されます。
*トランジスタ=信号の増幅や、回路のオン/オフといった働きをする半導体。

電気工学の知識には疎いので説明を読んでもいまいちピンと来ないのですが、一般的なトランジスタであるバイポーラトランジスタ(BJT:Bipola Janction Transistor)と違って、電流制御の変わりに入力する電圧でコントロールするらしいです。

このタイプのコンプの特徴としては入力に対してのレスポンスが早く、設定が顕著に反映されるということなので、パラメータの加減で大きく響きが変化します。

そのレスポンスの早さから、楽器や用途を問わずにオールマイティーに使えると言われています。

主なFET方式の銘機

Urei 1176

1176はUrei社(現Universal Audio社)の製品で、定番中の超定番といったコンプ。

オリジナルの1176にはスレッショルドのツマミがないため、インプットとアウトプットで効き具合を調整するというザックリしたコンプです。

アタックの早さと若干のリリースの緩さが特徴で、パキパキとエッジがかった音になるらしい。

1176をシミュレートしたプラグインをバスドラに挿してみたところ、若干音にパンチが出たような出ないような…(笑)

この1176はシリーズが出るたびに前面部のパネルの色も黒だったり青だったりと様変わりしており、黒パネや青パネといった愛称でも親しまれています。

ちなみにそれまで大半が真空管を利用していたコンプとは異なり、同コンプは世界初のオールトランジスタコンプレッサーとしても知られています。

光学式(オプティカル)

発光体(LED)と受光体(フォトセル)から成る、フォトカプラというものを利用した動作方式。

分かりやすく言うのであれば、入力された電流の大きさによってLEDの光り方が変化し、その光を受けた物体で光の具合に対応した電流に変換します。

こちらは先ほどのFETとは間逆でアタック、リリースともに遅く、良く言えばマイルドで自然な効き、悪く言えばスローでアバウトな効きととなります。

こういう専門用語って特性と名称が中々頭に入らないのですが、これについては「光のくせに効きは遅い」と簡単に覚えられます(笑)

主な光学式の銘機

Teletronix LA-2A/LA-3A

LA-2Aは元はTeletronix社が開発した製品ですが1969年に製造中止となり、現在はUniversal Audio社によって復刻版が出されています。

LA-3Aはソリッドステート回路なのに対し、LA-2Aは真空管回路であることが大きな違いとなります。
*ソリッドステート回路=真空管を利用した回路に対し、トランジスタ(半導体)を使用した回路のこと

LA-2Aは光学式の特徴通り、音が滑らかで太くなり、1176のハキハキした音とは対照的なコンプ。

もう一方のLA-3Aはしばしば1176とLA-2Aの中間的な効き方と形容されています。

アタック、リリースともに従来のLA-2Aよりも早く、音に厚みを出しつつも原音のイメージを損なわない正にいいとこ取りの働きをし、特にギターやベースなどの録音においてよく用いられるようですね。

VCA

VCA(Voltage Controlled Amplifier)はレスポンスの早い、クリーンな出音が特徴の動作方式。

コンデンサやオペアンプ等のICチップでデジタルに信号制御を行います。

いかにもメカメカした単語が並んでいるように、悪く言えば機械的な感じが出る場合があります。

主なVCA方式の銘機

dbx 160

dbxはハーマン・インターナショナル傘下の米国の音響機器メーカー。

この160もやはり定番のコンプで、VCAを採用していたこともあって、当時のコンプの中では歪みが少なくクリーンで素直な出音として評価されていました。

その反応の良さからドラムなどに掛けるコンプとしてよく使われていたそう。

真空管

4種類の動作方式の中では一番マイナーな動作方式で、トランジスタ等の半導体を一切使用せず、「可変ミュー方式」という、特殊な形式の真空管を利用しています。

真空管100%ですので、考えるまでもなくザ・アナログな音色が特徴となります。

主な真空管方式の銘機

Fairchild 660/670

660がモノラル、670がステレオ仕様のこの製品は、トランジスタ等の半導体を全く使用せず、純粋に真空管回路のみで成り立っています。

過去にはビートルズやピンク・フロイド、マイルス・デイビスといった往年のアーティストの作品にも使用されてきました。

アナログ感があるのはもちろんとして、旧機にありがちなハイ落ちも感じさせない出音は迫力ある音像をだすのにも最適とされています。

番外:ミキシングコンソールに組み込まれているコンプ

動作方式は以上の四種類ですが、モジュールとしてミキシングコンソールに組み込まれているものでも以下のように有名なコンプがあります。

  • API 2500(VCA)
  • Neve 2254(FET)
  • SSL 4000(VCA)

API、SSLなどは優秀なバスコンプとして度々名前が挙がっており、これらをシミュレートしたプラグインも多く出回っています。(WavesとかSlate Digitalとか)

現段階では実機はもちろん、これらをシミュレートしたプラグインを所有していないので何とも言い難いのですが、手に入れた際には実際の音源を上げたいと思っています。

最後に

というわけで動作方式と併せて幾つかビンテージコンプも覚えてきましたが、実際にはこれら以外にも多くの銘機があり、正直把握しきれませんでした(汗)

よくコンプは一つでガツンと掛けるよりも、二段重ねで掛けるといいと聞きますが、こういったコンプごとの特性を踏まえればより一層、効果的な使い方ができそうです。

まだまだコンプの奥深さはこんなもんじゃないと思っているので、もっと経験を積んでいかないとと思わされた次第です。

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CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
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