南イタリアの陽気な舞曲、タランテッラの種類と使用される楽器。

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イタリアの伝統音楽というと一般的にはカンツォーネのイメージが強いかと思われます。

一方で、南イタリアで盛んなタランテッラという陽気な舞踊も、民族音楽の作曲に役立ちそうなので調べてみました。

タランテッラの概要

リストやショパンなどの作品でも耳にするこの単語は、南イタリアのタラント地方発祥の民族舞踊及びそれに付随する音楽伴奏のことです。

その名称からも想像できるように、毒蜘蛛のタランチュラに噛まれた際の解毒の踊りとして伝統的に知られており、踊って汗をかくことで治癒を試みたという逸話があるそう。

音楽的には一拍が三連符で、6/8や12/8を中心に、3/8、8/18などの拍子でも演奏されます。

曲のテンポはかなり速めで、タモーレやタンブレッラなどのタンバリンや、マンドリン、アコーディオンなどが伴奏楽器として用いられることが多いです。

地域によって踊りのスタイルや音楽的特徴が若干異なっていますが、全体的に聴いた限りではコード進行はひたすら2コードを繰り返すシンプルなもの多いという印象。

ただ、他地域でのモーダルな民族音楽にも見受けられるように、そもそもそういった概念が希薄なのかもしれません。

タランテッラの種類

タランテッラは地域ごとに大小様々な種類がありますが、よく耳にするものを記載します。

サレントのタランテッラ(Tarantella Salentina)

プーリア州南部のサレント地方(イタリアのブーツ型のかかと部分)を中心に広まっているタランテッラで、ピッツィカ(Pizzica)という踊りが有名です。

元々は地域コミュニティー内において、結婚式などの祝福の場で踊られるものでした。

ピッツィカの中にもピッツィカ・ピッツィカ(Pizzica-Pizzica)、ピッツィカ・シェルマ(Pizzica-Scherma)など細かい区分けがあるようです。

カンパーニアのタランテッラ(Tarantella Campagnola)

ナポリやアマルフィなどのカンパーニア州を中心にみられるタランテッラで、ナポリのものはTarantella Napoletana(ナポリのタランテッラ)という表記もよく見かけます。

この地域の伝統的は踊りではタンムリアータ(Tammurriata)と呼ばれるものが知られています。

音楽的にはプティプー(putipù)と呼ばれる楽器や、シェタヴァジャッセ(Scetavajasse)というジングルをこすって鳴らす面白い楽器を用いているのが特徴的。

カラブリアのタランテッラ(Tarantella Calabrese) 参考動画

カラブリア半島におけるタランテラの総称で、ヴィッダネッダ(Viddhanedda)を始めとして半島内でも幾つか踊りに種類があります。

楽器はザンポーニャ(もしくはオルガネット)やタンバリンに加えて、チャラメッラ(=チャルメラ)、カラブリア独自の三弦リラなどが演奏に取り入れられることもあります。

更に一部の地域では簡素な木製の笛(Fischiotto)が使われることもあるようです。

使用される楽器

ピアノやバイオリン、オカリナなどの発祥の地でもあるイタリアですが、タランテッラでは概ね以下のような楽器が用いられます。

*を付けたものは日本語表記が不明だったため、イタリア語の発音規則を参考に近そうな表記を載せましたが、正確さに欠けるかもしれません。

タンバリン

タンバリンはタランテッラにおいて非常に重要な楽器で、地域によって幾つか種類があります。

一つ一つの違いが微妙なのですが、有名なものにタモーラ(Tammorra)と呼ばれる特大サイズのタンバリンが挙げられます。

ジングルの付いたものがよく用いられますが、ジングルのないものもあるよう。

イタリアンタンバリンの音源としてはDream Audio ToolsのSouthがあり、タモーラもこれに含まれてます。

ザンポーニャ/スルドゥリーナ

山羊の皮を一頭丸々使った空気袋をもつイタリアのバグパイプ。

スコットランドなどのバグパイプと比べるととにかく空気袋が大きいのが特徴的ですね。

ピッフェラーリと呼ばれる羊飼いたちが、ローマの聖母マリア像の前でピッフェロという葦笛と一緒にザンポーニャを演奏することで知られています。

このザンポーニャの小型版ともいえる楽器にスルドゥリーナ(Surdulina)と呼ばれるものがあり、こちらもしばしば用いられます。

蛇足ながらこのザンポーニャ(zampogna)、アンデス付近で用いられる笛のサンポーニャ(zampoña)とは全く違う楽器です。

フィサルモニカ/オルガネット

フィサルモニカはイタリア語でアコーディオンを指し、多くの民族音楽同様に欠かせない楽器です。

同じくオルガネット(Organetto)は小型のアコーディオンのことですが、同名の小型パイプオルガン(=ポルタティーフ・オルガン)や手回し式オルゴールのオルガニート(organette)とは別物。

ラウンドバックマンドリン

マンドリンの発祥の地でもあるイタリアではボディの背面が丸いラウンドバックが主流。

後にアメリカで考案されたものは平らなフラットバックと呼ばれるタイプで、こちらはカントリーやブルーグラスなんかによく出てきます。

マンドリンのトレモロで奏でられる音楽というとナポリの歌曲(カンツォーネ)の印象が強いですが、タランテッラにおいてはコードの伴奏が多いです。

チャラメッラ

日本でいうチャルメラで、カラブリア半島内の幾つかの地域で用いられています。

プティプー(Putipù)* 参考動画

カッカヴェッラ(Caccavella)やピニャート(Pignato)とも呼ばれるフリクションドラムの一種。

動物の皮などを張った入れ物に竹製のさおを挿した形状をしていて、その竿をこすることによって皮を振動させて音を出します。

シェタヴァジャッセ(Scetavajasse)* 参考動画

木製の二本のスティックで、ジングルの付いている一方をバイオリンのように他方のスティックにこすることでジャラジャラとした音を鳴らします。

ナポリの方言で”Sceta”は「起きろ」、”vajasse”は「召使」のことを指すようです。

トリッケバラッケ(Triccheballacche)* 参考動画

三本のハンマー状の木をカチカチ鳴らす楽器で、左右二本の木を中央の木に打ちつけます。

鈴が付いているものも多く見受けられます。

あとがき

ここでは挙げませんでしたが、ザルデーニャ島に伝わるドローン管のある葦笛ラウネッダスや、口琴のトルンファなどもイタリアの民族音楽ではお目にかかれます。

以下の動画はスカーポリという町で行われるザンポーニャ祭りの様子ですが、上で紹介した楽器も多く出てくるので見ていると面白いです。

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CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
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