民族音楽の作曲でフィドルを打ち込む際に役立ちそうなテクニック。

fiddle_image

DTMにおいて民族音楽を作る際に意外と難しいのがこのフィドルの再現。

私自身も作曲時にフィドルらしさが再現できずに苦労しているので、そんな問題を少しでも解消すべく、フィドルに特徴的な部分を調べてみました。

フィドルのテクニック(奏法)

フィドルの演奏では様々なテクニックを用いてノートを装飾することであの独特な民族風の響きが生まれています。

奏法名も地域によって様々な呼称が入り乱れていますが、ここでは主にアイリッシュ音楽で用いられるフィドルを参考にしています。

フリック/カット(Flick/Cut) 参考動画

ある音の途中で同弦上の音をほんの一瞬だけ入れる奏法。

実際には弾くというより音を切るために置くといった感じで、一つの音をレガートで弾きながら音を区切って擬似的に連続発音させているかのような効果を生みます。

A線上であれば、B-C#-Bのような感じでフリックを用いることができます。

また、これと似たようなもので、フリック後に元の音に戻らずに、B-C#-B-Aのように別の音に到達する奏法もあります。

バイオリンに馴染みがない場合にはギターのプルを想像すると分かりやすいですが、これらの奏法では同一弦上で指の届く範囲でしか行うことができないので、打ち込みの際には注意が必要です。

ウィグル(Wiggle) 参考動画

下降のモルデントに似ている奏法で、フリックの逆に近いとも言えます。

A弦の場合ではB-A-Bのような感じになりますが、これもフリックと同様に、完全に離すよりかはちょっと浮かせる程度のことが多いようです。

ロール(Roll) 参考動画

フリックとウィグルを合わせたような奏法で、A弦であればB-C#-B-A-Bといった風になります。

個人的にはこのロールを聞くと、あ~アイリッシュっぽいなぁ~と感じます。

トリプレット(Bowed Triplet)参考動画

三連符を挟み込むようにデタッシュで奏でる奏法。

三連符といいながらそこまでカッチリしているわけでもなく、人によって音価の取り方にはばらつきがあるようです。

スコットランドなどの一部地域ではこれをカットと呼ぶこともあります。

スクランチ(Scrunch) 参考動画

半音程関係にある音同士を一緒に弾いてすぐに1音のみにする奏法。

通常は一方が開放弦のため、C#(G弦)+D(D弦開放)、G#(D弦)+A(A弦開放)、D#(A弦)+E(E弦開放)などでこれらを同時に弾いてすぐに開放弦のみの音にします。

その他

これらの他にもハンマリング・オンやポルタメントも用いられます。

上に挙げた奏法の多くはバグパイプの奏法から発想を得たものも多く、ティンホイッスルなどでもクランやカットといった名前で同様のテクニックが用いられているので、応用してみるのも良さそうです。

フレージングとボウイング

クラシックのバイオリンはボウを目一杯利用するレガート奏法で奏でることが多いですが、フィドルではボウ全体を使うよりは細かく切り返すことが多いです(デタッシュ)。

また、フィドルでのフレージングについても感じたことを言えば、ある音を基点にしてそこから交互に音を鳴らしていくフレーズが民族的に感じます。

例えば、D線上のF#を基点にする場合にはF#(D線)-A(A線)-F#-B(A線)-F#-A-F#という風にして、弦がD線-A線と交互に行き来しています。

この基点となる音を連続させて、A-F#-F#-B-F#-F#-A-F#-F#のようなフレーズもよく聞かれますね。

この時にノートを継ぎ目で綺麗に繋ぐよりかは、基点となる音を次の音に被せて響きを若干残しておく方がフィドルらしい響きになります。

アイルランド民謡に限って言えば、第1ポジションのみで弾ける曲が圧倒的に多いため、音域や音の移動についてG(G弦)-B(E弦)の使用を念頭に作るとよりそれらしくなりそうです。

また、DTMではMIDIキーボードを使用している人が大半だと思いますが、同一音やダブルストップの速い連続発音や、弦を行ったりきたりする跳躍の多いフレーズなどは、意識しないと中々鍵盤上で打ち込まない動作なので、これも考慮したいです。

楽曲の調性(キー)を意識する

弦楽器は開放弦の響きが最も鳴りが良く、かつ比較的ピッチも安定します。

フィドルでは弦の間を相互に行き来するフレーズも多く、上で書いた諸々の奏法も開放弦を含んでいた方がやり易いという面があります。

フィドル(バイオリン)は下からG-D-A-Eと調弦されているため、これらの音が基音、もしくはそれらを含む調は演奏しやすいです。

長調で開放弦の音を含む数が多い順に並べてみると、

4つ:ト長調(Gメジャー)、ニ長調(Dメジャー)、ハ長調(Cメジャー)、ヘ長調(Fメジャー)
3つ:イ長調(Aメジャー)、嬰ロ長調(A#メジャー)
2つ:ホ長調(Eメジャー)、嬰ニ長調(D#メジャー)
1つ:ロ長調(Bメジャー)、嬰ト長調(G#メジャー)
なし:嬰ハ長調(C#メジャー)、嬰ヘ長調(F#メジャー)

となり、この中で四つ全ての開放弦の音を含み、かつ基音が開放弦のものはト長調とニ長調になります。

アイルランド民謡の楽曲はほとんどがGメジャー及びDメジャーなのですが、こういったフィドルの弾きやすさや響きの影響もあるのかもしれないですね。

それ以外で、例えばGやDが含まれていないものでも、フィドルは高音部で旋律を奏でることが多いので、A線やE線などが開放弦にあたるものであれば良い気もします。

最後に

バイオリン音源でフィドルを再現するのは中々難しく、私自身も未だに試行錯誤中だったりしますが、こういったテクニックを取り入れて何とかフィドルらしい響きを得られるようになりたいものです。

The following two tabs change content below.
CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
スポンサーリンク
スポンサーリンク