ロシア音楽で使用される楽器やコード進行などを色々と調べてみた。

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民族音楽にはまって世界各地の音楽事情を探求しているのですが、今回はロシアの音楽について調べてみました。

ロシア音楽の概要

ロシアは世界第一位の国土面積を誇るだけあって、各地域で多種多様な様式の音楽が発達しているため、国全体を通しての画一的な音楽性を把握するのがやや面倒だったりします。

例えば極東のブリヤートにおいてはポリフォニーが存在しなかったり、トゥヴァではフーメイと呼ばれる不思議な響きの喉笛を取り入れた音楽があったりとまさに千差万別です。

日本におけるロシア民謡

ロシア民謡というと誤解を招きそうですが、日本で知られているものの多くは、古くからの民間伝承的な音楽というよりも、割と近代になってから作られたものだったりします。

日本国内でも「カチューシャ」を始めとして、以下のように多くのロシア楽曲が知られています。

  • コロブチカ(コロベイニキ) – テトリスのBGMとして世界的に知られています
  • カリンカ – 日本ではコサックダンスのBGMの印象が強いです
  • カチューシャ -最近ではガルパン第8話で使用されていました
  • ポーリュシカ・ポーレ – TBS系ドラマ「青の時代」の主題歌に編曲したものが使われていました

ロシア音楽の楽器

主なロシア楽器

バラライカ(Balalaika) 参考動画

ロシアの楽器と言えば真っ先にでてくるのがこのバラライカ。

ボディは三角錐形をしており、弦は三弦で、1弦がスチール製,2,3弦はナイロン製になっているものが一般的です。(チューニングは低い方からE-E-A)

コントラバスやアルトなど種類が多く、バラライカ・オーケストラなるものも存在するくらい。

バヤン(Bayan) 参考動画

ロシア風のボタン式アコーディオン。

名称は11世紀に実在したロシアの伝説的な吟遊詩人ボヤンにならって付けられたもの。

アコーディオンと非常によく似てていますが、右手鍵盤がボディの中央部にやや寄っていたり、リードプレートとリードブロックの結合にワックスではなくネジを用いていたりと、僅かながら内部の構造に違いが見られます。

こちらのbayanというサイトで右手の鍵盤部分の演奏体験ができます。

グスリ(Gusli) 参考動画

チター型弦楽器に分類される楽器です。

同じくチター型弦楽器であるフィンランドのカンテレはグスリと非常によく似ており、度々引き合いに出されます。

吟遊のための楽器だったようで、物悲しい響きがしますね。

膝に抱えて弾くものの他にも鍵盤型のグスリも存在し、こちらは鍵盤で和音を押さて右手で弦を弾くと、押さえている音だけが発音されます。

ドムラ(Domra) 参考動画

バラライカの祖先にあたる楽器。

バラライカが指で弾くのに対して、ドムラはピックを使用して演奏します。

弦は3~4弦のスチール製でチューニングはEADやGDAEなどが一般的。

とにもかくにもトレモロで演奏されるのが印象的です。

余談ですが、カザフのドンブラ(Dombra)という弦楽器はドムラとは異なる楽器です。

ジャレイカ(Zhaleika) 参考動画

ホーンパイプやフォーク・クラリネットの名でも知られるシングルリードの楽器。

紀元前2700年頃のエジプトでは既にその存在があったとも言われ、主に羊飼いが使用していたという話もあります。

ロシア楽器のVST音源

DTM寄りのブログなので音源についても触れておくと、ロシア発のIlya Efimov(イリヤ・エフィモフ)というデベロッパーがロシア楽器の音源を扱うことで知られています。

この方は作曲家兼ジャズピアニストでもあり、2010年頃からデベロッパーとしての制作を始めています。

現在販売されているロシア楽器の音源は以下の7製品。

  • バヤン
  • バラライカ
  • コントラバス・バラライカ
  • ドムラ
  • ドムラ・アルト
  • ジャレイカ(C及びG)

残念ながら今のところグスリがないようですが、もしかしたら今後出てくるかもしれません。

*2016/4/17追記:Daniel Belik Sound ProductionにSibelian Samples Gusliという音源がありました!

Ilya Efimov以外でロシア楽器の音源では、Daniel Belik Sound Productionのドムラと、PRECISION SOUNDのバラライカしか見当たりませんでした。

雑記 トゥヴァという地域に特徴的なフーメイと呼ばれる喉声は、Omnisphereにかなりの数が”Tuvan”という名称で収録されています。

音楽的な特徴

ロシア風コード進行

ロシア音楽に顕著なコード進行というのは例を挙げるのが難しいのですが、ここではロシア民謡やポップスなどを参考に、私がロシアっぽいと思う進行を考えてみました。

Ⅰm-Ⅴ-Ⅴ7-Ⅰm-Ⅴdim-Ⅳm6-Ⅰm-Ⅴ|Ⅰm

前半部の進行や後半のⅣm6の音などは「カチューシャ」を参考にし、そこにdimなどを加えた進行。

Ⅰm-Ⅴm-Ⅰm|♭Ⅵ-Ⅴ

ポーリュシカ・ポーレを元にした進行(原曲はAm-Em-Am-Em F-E-F-E)

海外のフォーラムでロシアっぽくするにはどうすればいいかという会話がされていたのですが、そこではドミナントをトニックと捉えてケーデンスを作るとそれらしくなるという人がいました。

あと個人的にはⅤ7-Ⅴaug-Ⅴ-Ⅰmというドミントセブンスからの流れがなんかロシアっぽいと感じます。

ロシアンスケール(?)

日本で言うディミニッシュ・スケールやコンディミスケールはロシアの作曲家の間で盛んに用いられ、俗にロシアンスケール(Russian Scale)とも呼ばれていたとかいないとか。

中々情報がなかったのですが、wikipedia英語版のOctatonic Scaleの項目にロシアとの関連性が記されていました。(出典となる著作物が記されているため、信憑性に乏しいというわけではなさそうです)

それによると、「熊蜂の飛行」などで知られるロシアの作曲家、リムスキー・コルサコフの作品に見られた特徴的な音使いがKorsakovian scale(コルサコフのスケール)と言われ始め、その後20世紀初頭にロシア人音楽研究家のBoleslav Yavorskyがこの配列をディミニッシュ・モードと名付けて現在に至るそう。

ロシア国内においてはコルサコフにあやかってRimsky-Korsakov scaleという名でも知られているようですね。
(7世紀には既にペルシャ周辺の民族音楽でこのスケールが見られたとの説もあります。)

コルサコフに師事したストラヴィンスキーの作品にも顕著であり、それ以外にもスクリャービンやバルトーク、メシアンなどの作曲家の作品にもこのスケールは散見されます。

ポップスや民謡などにおいても通用性があるかは不明ですが、少なくともクラシック調の作品ではコンディミスケールやペトルーシュカ和音などを取り入れるとロシア風になるかと思われます。

補足 ペトルーシュカ和音(Petrushka Chord)はストラヴィンスキーの作品「ペトルーシュカ」などに見られる特徴的な音使いのこと。簡潔に言えばジャズにおけるUSTのC/F#に相当します。[参考動画]

おまけ:ロシアのポピュラー音楽

クラシックや民謡などは知られていますが、現在のロシアのポピュラー音楽についても軽く紹介してみます。

北欧などの寒冷地の例にもれずに、ロシアも多くのメタル系バンドを輩出していますが、そっち方面はネット上でも情報が多いので割愛します。

Non Cadenza  公式PV

アシッド・ジャズやファンク、ソウルなんかを取り入れたPOP-FUSIONなバンドらしいです。

Medusa’s Scream 公式PV

ポスト・ハードコア/エモバンドです。

あとがき

この頃世界各国の音楽を学んでいますが、ことロシアに関しては情報が少なく大変でした。

特徴的なコード進行やペトリューシカ和音などはほとんど詳細が分かっていないため、今後、また気付いた点があれば追記していきたいと思います。

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CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
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