欧風な曲作りにも役立つ。ポルトガルの音楽、ファドのコード進行や楽器について。

fado_web

ファドというと日本では暗いイメージを持たれがちですが、実際には明るい曲も多く非常に魅力的な音楽です。

今日はそんなポルトガルの伝統音楽であるファドについて、本格的なものではなくDTMなどでの作曲にも活かせるような知識も交えて書いていこうと思います。

ファドの基本知識

ファドは通常2/4で演奏され、以下の2種類に大別されます。

  • リスボンファド
  • コインブラファド

リスボンファドの方がよく知られており、ここでもリスボンファドを念頭に書いてあります。

また、伝統的な形式のファドをファド・カスティード(Fado castiço)、比較的新しい展開のハッキリした様式のものをファド・ムジカード(fado musicado)と呼びます。

豆知識 ファドの基本的な種類にファド・コリード(Fado Corrido)、ファド・メノール(Fado Menor)、ファド・モウラリア(Fado Mouraria)と呼ばれるものがあります。これらはコード進行だけが決まっていてメロディがないために歌手(ファディスタ)がメロディを作ります。

ファドに使われる楽器

ポルトガルギター(ギターラ)

スチール弦を張った12弦(6コース)の複弦ギター。コースとは2弦をひとまとまりと捉えたものです。

通常、チューニングはリスボンファドでは低い方からDABEABとなり、4~6コースは各弦がオクターブ違い、1~3コースは同じ音程(ユニゾン)の組み合わせになっています。

元々は指で弾いていましたが、近年はフィンガーピックを親指、人差指につけて弾くのが一般的です。

ヴィオラ(ビウェラ)

オーケストラの弦楽器とは別物で、ポルトガルではスチール弦を張ったクラシックギターのことを指します。

ファドにはドラムがないため、ベースやリズムはヴィオラでンッチャッンッチャというリズムを刻みます(上記の動画参照[3:29~])

ポルトガルギターの奏法

使用する指によるスタイル

フィゲータ(figueta)及びデディーリョ(dedilho)と呼ばれる二種類の弾き方があります。

  • フィゲータ(figueta) – 親指と人差指を交互に使って弾くスタイル。所謂アルペジオ風な響きになる。(上記の動画参照 [1:17~])
  • デディーリョ(dedilho) – 人差指のみを使って主にメロディーを弾くスタイル。フィゲータよりも速いパッセージを演奏できる。

作曲に活かす場合には、フィゲータが親指-人差指と交互に弾くことを考え、4~6コース側の音と1~4コース側の音が交互に来るような配置にしてアルペジオ風にするとファドっぽくなります。

TIPS ポルトガルギターの解説で度々でてくる単語にフリーストロークとレストストロークがあります。これは前者が弦を弾いた後に隣接弦に指をあてて止めるアルアイレ、後者がその他の弦に触れずに離れるアポヤンド奏法のことを指しています。

トゥリナード(trinado)

人差指で弾いた後にそのまま指を折り返して同弦を爪で弾く奏法で、一聴すると響きはトレモロピッキングに似ています。

これを装飾音的につけると非常にファドらしくなります。

TIPS トゥリナードの他に、コードを打ち込む際にタラララーンと少しずらしてアルペジオっぽくするのもそれらしい響きになります。

ファドのコード進行

ファドのコード進行はシンプルかつケーデンスを繰り返すものが多いです。

Ⅰ-Ⅴ7-Ⅴ7-Ⅰ

ファドの基本的な形式のコード進行はⅠ-Ⅴ7-Ⅴ7-Ⅰが有名です。

Aメジャーであれば、A-E7-E7-Aとなります。

ⅠをⅠmにすればマイナースケールになります。

Ⅰ-Ⅱm-Ⅴ7-Ⅰ

上記の進行のⅤ7をツーファイブ化したものも定番の進行です。

私的な嗜好ですが、susコードを用いたA-Bm-E7-E7sus2-Aなんかはお気に入りの響きです。

Ⅰ-Ⅳ-Ⅴ7-Ⅰ

コード理論の入門本に書いてありそうな超シンプルなT-SD-D-Tのケーデンスですね。

ポルトガルギターの音源

ヴィオラはスチール弦のアコギで代用できるとしても、独特のチューニングでなおかつ12弦のポルトガルギターの音源となると中々見つかりません。

以前は以下のような有料のKontakt音源があったのですが、サーバーの移転をするという報告以降、現在までサイトにアクセスできない状態が続いています。

実物のポルトガルギターは手に入れ難いですし、6弦ギターのチューニングを変えようとしてもテンションがネックとなります。

一番現実的な方法としては、ギター音源を複数トラック用意して、4~6コースに当たる部分ではオクターブ上のノートを重ね、1~3コースでは微妙に発音のタイミングをずらした同一音を重ねるという方法を取るのがベストかと思います。

TIPS 最近の音源には始めから12弦ギターが収録されていたり、切り替えできる機能がついているものも多いため、これを利用するという手もあります。

最後に

DTMなどの作曲にファドの要素を取り入れる場合には、12弦ギターの響きに加えてトゥリナードを積極的に使うのが一番お手軽です。

日本では中々聴く機会の少ないファドですが、音楽的な要素を少し取り入れてみるといつもとは違った新鮮な響きになるかもしれません。

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CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
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