民族音楽からポップスまで。メキシコの音楽ジャンルや楽団様式などの概要。

web

メキシコの音楽と言われると、考えた挙句に一つも出てこないという人も多いのではないでしょうか。

ちょっと知っている人であればマリアッチやバンダなどを挙げるかもしれませんが、実はメキシコは多種多様な音楽性の宝庫であり、まだまだその他にも魅力的な音楽が沢山あります。

メキシコの有名な楽団様式

いましがた名前がでたマリアッチとバンダですが、メキシコの音楽というとこの二つの名前が挙がることが多いです。

しかし正確にはこれはジャンルの名前ではなく楽団の編成の呼称になります。

マリアッチ(Mariachi)

バイオリンやトランペットなどに加えて、ギタロンというちょっと大きめのギターと、ビウエラというナイロン弦の5弦ギターを取り入れた楽団を指します。

ビウエラはイタリアにも同名の楽器、ビウエラ・デ・マーノ(Vihuela de Mano)がありますが両者に関係はなく、どちらかと言えばカナリヤ諸島の楽器ティンプレ(Timple)に形状や弦数に共通点が見られます。

このマリアッチの楽団は後述するメキシコの音楽であるランチェラやボレロ、コリードなど多岐に渡る音楽を演奏しています。

バンダ(Banda)

メキシコで一番人気かつ知名度がある楽団編成。

トロンボーン、トランペットなどの金管楽器とクラリネットなどの木管楽器が主体の編成。それらに加えて特徴的な事柄として、タンボラ(tambora)というパーカッションが用いられていたり、スーザフォンというチューバの亜種がベースを担当していることが挙げられます。

メキシコの音楽

ランチェラ(Ranchera)

日本で言えば演歌、アメリカで言えばカントリーのようなメキシコの国民的民謡とも言うべき音楽。

元々は一人でギターを弾き語るスタイルだったのが、20世紀初頭のメキシコ革命以降、ハリスコ州などを中心にマリアッチに演奏されたことで発展します。

愛や自然、愛国心などについて歌い上げており、音楽的にはギターやストリングス、トランペット、アコーディオンなどを用いたメジャー調のものが多いです。

他国の音楽に影響を受けたために拍子も混在しており、ポルカ調(2/4)、ワルツ調(3/4)、ボレロ調(4/4)などバラエティーに富んでいます。

曲の展開がある程度決まっており、大抵は冒頭で楽器の導入があり、その後に歌が続いてまた楽器によるフレーズに戻ってこれが繰り返されます。

歌の合いの手のように、各フレーズごとに楽器で追従するようなフレーズを奏でることが多いのも特徴的です。

コリード(Corrido)

ランチェラと近い音楽性を持つのがこのコリード。

ランチェラが愛や自然について歌い上げていたのに対し、コリードでは英雄的な物語や歴史、社会性のあるテーマを歌っています。

コリードは主に西洋のワルツに似たリズムが主で、ランチェラのように拍子の種類に幅はありません。

元々は吟遊のための物語を伝える音楽であり、ランチェラが踊るための音楽であることとは性質を異にしています。

ノルテーニョ(Norteño)

ヨーロッパからの移民を通じて伝わったポルカやワルツなどから影響を受けており、主にメキシコ北部で人気なことからノルテーニョ(北の)という名称になりました。

このジャンルの特徴的な楽器としてはバホ・セスト(bajo sexto)と呼ばれる12弦ギターとアコーディオンが挙げられます。
*近年では低音をベースが担うため、10弦ギターのバホ・キント(bajo quinto)で代用されることも多々あります。

ノルテーニョはメキシコのみならず、南米のチリやコロンビアなどでもポピュラーな音楽ですが、その歌詞は抗争や薬物など社会の闇を歌いあげたダークなものが多いです。

2000年頃には北部のティフアナを中心にノルテック(Nortec)というノルテーニョとテクノを合わせた音楽が生まれており、Nortec Collectiveなどのグループを輩出しています。

テハーノ(Tejano)

メキシコに加え国境を接するアメリカのテキサスなどに渡ってきた移民によって、ポルカやワルツなどの要素を取り込んで発展した音楽。

メキシコなどのラテン音楽の影響を受けてはいますが、南米からの移民を中心にテキサスで盛んなジャンルでもあります。

TIPS 同じくポルカやワルツなどに影響を受けて発展したノルテーニョとよく誤解されますが、テハーノの方がカントリーやジャズなどのアメリカ音楽の影響を色濃く受けています。

グルペーラ(Grupera)

割とポピュラー寄りの音楽で、ノルテーニョやクンビアなどのメキシカンミュージックに加えて、60年代ロックにも多大な影響を受けています。

楽器もエレキギターにドラムやキーボードと現代的なバンドに近いものが多いです。

元々は60年代に地元のロックバンドは英語圏のロックバンドをスペイン語でカバーしていたのが、次第にクンビアやランチェラなどの伝統音楽の要素を取り入れ始めて現在に至っています。

デュランゲンセ(Durangense)

バンダやノルテーニョから大きな影響を受けているジャンルで、バンダと同様にサックスやトロンボーンが楽器として使用されます。

裏打ちの軽快でノリのよいリズムに加えて、シンセサイザーを多用することも特徴的です。

このジャンルではテンガロンハットが一種のシンボルとして扱われており、上記の動画でも全員がかぶっていますね。

そもそもはこのデュランゲンセはメキシコ北部のドゥランゴ州から来た人々の意であり、このジャンルの草分け的存在がGrupo Montez de Durangoというグループ。

その後、ドゥランゴから他の州やアメリカなどに移り住んだ移民たちの間で上記のPatrulla 81を始めとするグループが起こり始め、故に現在でもデュランゲンセはメキシコ系アメリカ人の間で盛んです。

ポピュラー音楽

日本で言うところのJ-POP。現代風のポップスサウンドです。

近年はスペイン語圏以外でのマーケットを意識して英語バージョンをレコーディングすることも多く、実際に多くのアーティストが英語圏でヒットを飛ばしています。

なぜか東京が舞台のPV。

1985年から活動しているメキシコでもっとも影響力のあるバンドの一つ。

男性ポップシンガー。ポップシンガーという字面が似合わない程の悠然とした佇まいですね。

メキシコは多種多様な音楽で溢れている

メキシコの音楽はかなり種類が多く、実際には以下のような近隣諸国の音楽も聴かれています。

プエルトリコ - レゲトン(Reggaeton)
コロンビア – クンビア(Cumbia)
キューバ – ボレロ(Bolero)、サルサ(Salsa)、ソン(Son)、ダンソン(Danzon)

これらの他にも細かく見ていけば楽団の形式や音楽性はまだまだあるのですが、様々な要素が絡み合って整理するのが大変なので有名なところで区切りました。

もし興味があったらぜひ探求してみてください。

The following two tabs change content below.
CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
スポンサーリンク
スポンサーリンク