現実の事象を表現と結びつける作詞法で、簡単に詩的な表現を作り出そう。

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作詞に関する考え方や簡単な表現について触れている本は数多くありますが、実際にどういう思考回路でそういう表現がでてくるのかということまで触れてある本は珍しいものです。

もっと誰でも簡単に詞の表現を思いつくように、今回は現実の事象・事実と表現を結びつけるという方法を説明したいと思います。

現実の事象から探す慣用表現

1. 現実における事象・事実を考える

現実の事象というと科学的事実であったり、社会における常識であったりと色々とありますよね?

「水は沸騰すると蒸発する」「地震は物体を揺らす」「ゴムは電気を通さない」などなど、考えだせば次から次へと出てくると思います。

今回は例として「物体は月に行くと軽くなる」という事象を取り上げたいと思います。

2. 事象の中にでてくる単語を含んだ慣用句・表現を探す

先ほど考えた事象を文章として表した際に出てくる単語があると思いますが、この単語が入る表現・慣用句を探します。

上記の例では「軽い」という単語がありましたので、ここから表現を探してみることにしましょう。

探していくと「心が軽くなる」という表現を見つけましたのでこれを利用したいと思います。

3. 最後に表現と事象を結びつける

後は最初に考えた事象と、先ほどの表現を結びつければ完成です。

例文の場合には以下のような表現になりました。

そんな心は月に飛ばして軽くしようよ

「行く」の部分を「飛ぶ」にしたように、核以外の描写(この場合は「行く」)は表現を変えてしまってもOKです。

ただ、ものによって冗長になる場合があるため、適宜曲に合わせて口調を変えたりフレーズを区切ったりしてみてください。

試しに区切ってみると以下のようになります。

そんな心は月に飛ばして
軽い気持ちで歩いていこうよ

表現から事象を探すのももちろんOK!

詞では表現を先に思いつくことがほとんでですので、上で説明した方法は中々実用的とは言えません。

しかし実はこれは逆から考えることも出来ます。

例えば先ほどとは逆に「心が痛い」という表現を使いたいとします。

「心が痛い」なので一般的に何をすると痛いのかを考えるわけですが、ここで考えるべき主体は心ではなく、一般的な事象であることに注意してください。

事象側の主体(X)は最終的には表現側の主体(心)と入れ替えるため、「何をすると足が痛いか」でもいいし、「何をすると頭が痛いか」でもいいわけです。

重要なのは「何をすると」という動作の部分というわけですね。

逆に言えばここで主体を変えないと至って普通の表現になってしまいます。

裏切られて心が痛い

という表現では裏切られたら一般的に心が痛むのであまり面白みがありません。

それを踏まえたうえで痛いという観点から考えてみると様々な動作が思い浮かぶかと思います。

転んで、すりむいて、切って、ぶつけて、つねって、撃たれて、殴られて…などなど色々と考え付きますね。

ここではシンプルに、

すりむいた心が痛い

という表現を採用してみました。

ここで注意して欲しいのが、それ自体でイメージがし易い表現とそうでない表現があるという点です。

たとえば「すりむいた心が痛い」と「転んだ心が痛い」では前者はしっくりくるのに、後者は一瞬「?」と感じるのではないでしょうか?

この部分でどういう表現を当てはめるかは感性の問題ですので、自分がしっくりくるものを選べばいいと思います。

まとめると、

・表現から探す場合には動作や描写の主体を入れ替えて「何をすると」にあたる部分を考える

ということになります。

動作や描写部分を省いてよりスマートに

今までの考え方を踏まえた上で、応用として不要な描写を省くことを覚えてみましょう。

ここでは「水をかけると物体は冷える」という事象を例とします。

先ほどまでの考え方でいけばここで核になるのは「冷える」という単語になりそうです。

しかしここで

水をかぶって冷えた二人の関係

とすると冗長で逆にテンポが悪く感じられます。

では試しに「冷える」という描写を省いてみるとどうでしょうか?

水をかぶった二人の関係

となり、これだけでも冷えた関係性が十分伝わりますよね?

このようにちょっと考えればわかるものはあえて描写を省くとスマートで詞的になります。

俳句でも川柳でも散文詩でも歌詞でも、全ての情景を事細かに説明していくのは野暮というもので、ある種のヒントとも言えるべき選ばれた表現で読み手側に行間を読ませることは大事なことです。

ここでは更に「水をかけられた」→「水をかぶった」としていますが、先ほども言ったように核でない箇所は変えてみるのも一つの手です。

ここでも表現によってイメージしやすいものとそうでないものがでてくるもので、例えば冒頭の「そんな心は月に飛ばして軽くしようよ」という表現、

そんな心は月に飛ばしてさ

と形容詞に当たる「軽い」を省いてみると、聴いてパッと意味を理解するのは先ほどの表現より難しいと思います。

このような場合には省かずにいた方がよさそうですが、どうしても冗長になる場合には先ほど説明したように文を区切って「軽い」を後に持ってくるとスッキリします。
(「そんな心は月に飛ばして 軽い気持ちで歩いていこうよ」)

思いのほか長くなりましたが、ひとまず今回はここら辺で一旦区切ろう思います。

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CASA
作曲経験ほぼゼロの状態から、2015年より著作権フリーBGMの製作に乗り出した駆け出しの作曲家。感性と独学での作曲で生計を立てられるのかを身をもって実践中!ブログ「またたび音楽堂」では、音楽・DTMを軸に自身が興味のあることを幅広く発信しています。 ⇒プロフィール詳細
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